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小川恭令の好きな人と好きなものを創って仕事をする。
有限会社グラフィカが運営する「nugoo」は鎌倉にある手拭いと布の専門店。同社は元々は一部上場企業のロゴマークや会社案内、カタログ、広告、WEBなど、総合的イメージ展開を得意とするデザイン事務所であった。
「nugooプロジェクト」は、商品の素案企画から設計、製造管理から店頭設計、施工、実販売、PR活動まで、 すべて自社内のデザイナーが行なうデザイン会社だからこそ行なえるプロジェクト。
同社代表の大比良氏と小川が、今回共同で創った傘を振り返り、対談を行った。

大比良 寛人
有限会社グラフィカ 代表取締役

デザイン会社は常に「受注」に特化しなければならない、ということの脆弱さを感じ、 直接製品をデザインして販売するモデルを構築できないかを模索。 日本の伝統工芸を活用した消費者向け直接販売の形に直した「nugooプロジェクト」を始動する。

命をかけてカタログを作ってきたが、
カタログはカタログだった。

小川 大比良さんははじめから手ぬぐいをやろうと決めていたんですか?

大比良 「nugoo」は偶然生まれた産物なんですよ。その昔、雑貨屋で何かいいモノないかな、おもしろいモノないかなと思って店をまわっていたとき、新宿や池袋でちゃんと手ぬぐいを販売しているお店がなく、手ぬぐいならお客様に喜んでいただけるかなと。
元々受注としてグラフィックやプロダクトデザインをしていましたが、私たちが作っているものは広告であって、製品そのものを作っているわけじゃないと思うようになっていたんです。
そりゃ、命をかけてカタログを作ってきましたよ。でもずーーっと心のどこかにあったのは、「これって能書きだよなぁ・・・」という思いでした。

能書きとか箱ではなく、商品そのもの、中身を作りたい。
それが「nugoo」の始まりだったんです。

小川さんは?傘は元からやりたかったんですか?

小川 うちも同じような経緯ですね。僕で3代目だけど、ずっと下請けとして傘を作ってきたから、ある意味それまでは安泰だったんですよ。
でも、それでは機能や条件や価格なんかの「引き算」交渉ばっかりで、作りたいものを話し合う「足し算」にならないんですよね。お客さんと本気で物を作りたいって思いが強かった。
大手の会社で働いて、27歳で父の会社に戻ってきた当時は、会社のメンバーも年上の先輩ばかりでした。ある日、ある方から「お前、その先輩たちと今の形で10年後も一緒にやってるのか」と問われ、僕は「ないですね」と答えました。

企画室の室長でもある妻(小川敦子室長)に相談したら、「最悪、お客さん半分になったとしても、2人だけになったとしてもやろう」って言われました。

それで決意しました。好きなことをやっていこうと。
そして、それに共感してくれる人だけを集めてやっていくんだって。

そんなときに、マルイさんからプライベートブランドを作りたいという話をいただいたんです。小売店さんからの依頼でしたが、実は、それが自分たちの手で自分達が作りたいある意味、オリジナルに近い傘を作るきっかけでした。

そこからOEMというもの、オリジナルデザインというものを考え始めたんです。
下請けというカタチだけではなく、自分たちの手でモノづくりをしたいと思うようになりました。
大比良さんのおっしゃった「カタログじゃなくて中身をつくりたい」と一緒ですよね。「どうしたんだ?3代目は。気が狂ったのか?」なんて言われたこともありました。言われたことを形にするだけより、クライアントも最終消費者である一般のお客さんにも「いいなー、これ。」といってもらえるような傘をつくりたかったんです。

出会ったきっかけは
「なんだこれ!?」なホームページ

大比良 小川さんの会社と出会ったのは本当に偶然だった(笑)。
ネットで傘を検索していたら、ほんとにたまたま小川さんのところのサイトを見つけたんです。
サイトを見て「なんだこれ?」って驚いた(笑)。で、もうこれはすぐに連絡とらないと!って。これこそ本当のウェブサイトだと思いましたね。メッセージがパンなら、広告やウェブってお皿だと思うんです。そして、小川さんのところのウェブサイトは、まさに最適なお皿に載っているな、と。

小川 全然そんなこと計算してないけどね(笑)
一見して傘屋のサイトだとわからなくてもいいと思ったよ。

大比良 人間って計算の先にある狙いは案外見えてたりするものじゃないですか。出ちゃうんですよ。結局ばれるよね。

小川 自分を美化する必要はないんですよね。会社もそう。がくっとされるなら、最初から見栄なんて張らないでありのままを見せたほうがいいと。

大比良 あのサイトはまさに小川社長の姿そのままだなって思います。だからいいんです。
僕も計算が得意じゃないんです。面談のときなんかによく感じるねぇ。一人一人と話すと、「あ、自分のことこんなにしっかり見られてるんだ」と思いますもん。こっちが面接しているのにね。だから計算せずにみんな見せちゃった方が面白くなるんじゃないかと思うんですよ。

小川 社員のモチベーションをあげるために、表情をつくったり、自分の感情を抑えたり…僕もかつては強がっていました。でも、自分がおもしろくなくなってきちゃう。自分がそれじゃ、社員だって会社をおもしろいなんて思わないです。

父の代から残っていた歴代の先輩たちがいなくなって、その後、父に社員を採用したいと直談判しました。それまではハローワークだったのですが、別の求人媒体に出すことにしました。半年かけて広告文を考えましたよ。他の会社のも参考にしたんですが、みんなかっこつけすぎているんで何か違うなと。

で、半年かけて考えた広告が、ぼろぼろの会社の前で傘をさして「この会社つぶれます」っていう採用広告です(笑)。

大比良 (笑)何マーケティングですか!?
いやいや、でも大風呂敷を広げてもしょうがないんですよね。自分は最低だと言うと、「そこまでじゃないよ」って言ってもらえる。
うん、「自分最低マーケティング」ですかね。(笑)

40代と50代の社長の違いって、ありますよね。40代はまだまだかっこつけがちですよね。50代はいかに自分を落とすかになってくる(笑)。どうしても。

月曜日に会社に行きたいって
思える会社にしたい

大比良 どんな会社にしたいかと聞かれることがあります。僕は、「月曜日に会社に行きたい会社にしたい」って答えてます。土日に映画を見たり、遊びに行ったりも大切だと思います。だけど社会人になってからは7割の時間は仕事しているわけじゃないですか。
だから、トライアンドエラーでなんでもやってOKな会社にしています。自主自立の精神で、数字で追い回さない。だから数字も店長達には言わない。

そんな感じだから、誰かが辞めるなんて言うと、1週間、食べられなくなりますよ。「うちの会社なんて、誰にも自慢できないし、給料だって高くないし、小さい会社だし…」って。そしたら、それも見えちゃってるんでしょうね。社員が励ましてくれたんです。「私がいるから大丈夫です!」って。

みんなで勝てる仕事を考えよう

大比良 うちのクレドは「みんなに応援される会社になる」なんです。だから「自分だけが勝てばいい」っていう人とは仕事はしないなぁ。生存競争なんてバクテリアでもできますからね。誰か一人だけが勝つんじゃなくて、みんなが勝てるようなことを考えない会社や人とは一緒に仕事はしないです。私たちや私たちの仲間と思いを同じくするところじゃないと。なんか冷めちゃうんです。

小川 わかる。でも大手は競争重視だし、日本はそれで大きくなってきたっていうのもありますよね。

大比良 甘いよって言われますね。でも、それでいいんです。俺らはバクテリアじゃないからね。

小川 確かにそういう会社って社員も死んだ魚のような目をしてます。僕も(大比良さんと)同じ感じですかね。極論すれば、騙されてもいいやって思っているんです。騙してくれればいいじゃんって。

見ている人にとっても涼しい日傘ができた

大比良 今回の日傘は、お客さんの反応が楽しみです。
社会で売れるか売れないかって、社員が買うかどうかと一緒なんですよね。社員が買わないものなんてお客さんに売れるわけがない。社員が買い続けてくれるものを作っていきたいんです。これが僕達の考える品揃えの基本かな。

小川 僕もそう思う。傘の業界では他のところが機能戦争をやっちゃったんですよ。日傘だったら最初に99%UVカットが出てきた。そこからは99.9%、99.99%…UVの次は遮光、遮熱…でもこれって、99%も99.99%も変わりないんですよ。性能としてはどれも十分なんだよね。
もう完全に「売上を上げるためだけ」の競争世界。
UVカットは最低限の機能なので今回の傘にもついていますが、生地は綿配合の素材で、なによりもnugooさんとのコラボだから、なおさら「質感」を一番大事にして作りました。日傘なのに厚手だから、工場から「発注ミスでは?」なんて聞かれましたよ。

大比良 (その日傘をさしている人を)見ている人にも涼しくあってほしいですよね。夏なのに黒の手袋やアームカバーをして、黒い大きな帽子をかぶって、黒の日傘をさして…自分だけが影にいればいい、それって見てる人には暑いじゃないですか。

周りの人も幸せにする日傘を作りたかったんです。自分のためだけじゃなく周りの人までも涼しくする、それって日本古来の風鈴や浴衣や打ち水と同じで、日本独特の美学ですよね。
だから日傘ってトライしてみたかった。
さして歩いていると、周りの人が「あっ、涼しげだなー」って感じられる日傘。

小川 その感覚大賛成、やろう!・・・それで決まった(笑)
僕らも同じ感性なんだよね。「なんか気持ちいい」って感覚はすごく重要。

大比良 時代は「機能」のその先を見ていますよ。機能・性能の先には「感情」があります。手ぬぐいも感情で買うものだからね。

小川 傘の企画も一緒ですね。
傘はどうしても大量生産型になりがちだけど、それでいくと商品がおもしろくなくなっていく。

だから僕がよくいっているのは、うちは100%の品質はだせません。もちろん努力はするけれど、ということ。
ただ、いっしょにやる人、やらない人という合う合わないの感覚は強く持っている。

好きな人としかやらない。好きなものしかつくらない。
今年で50歳。今後も好きな人と好きなモノをつくっていければと思っています。

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