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株式会社ピーカブーが運営する「エポカル」は子ども達の健やかなお肌を守るために紫外線対策専用のUVカットウエアを作っている。きっかけは、自身の子供が「アトピー」だと皮膚科医に診断され「できるだけ紫外線対策もするように」と告げられたことから。
エポカルブランドは、子ども達(エポカルスタッフの子供達)の成長に伴い、赤ちゃん用のUVカットウエアから小学生高学年まで、さらに、小学校生活をサポートするUVカット体操服、スイムウエア、そして、大人用のUVカットウエアやグッズも、企画、開発、製造してきた。
同社代表の松成氏と小川が、今回共同で創った傘を振り返り、対談を行った。

松成 紀公子
株式会社ピーカブー 代表取締役

育児仲間のママが集まって出来た女性オンリーの会社、株式会社ピーカブー!肌が弱いわが子のため立ち上げたブランド「エポカル」は日本初の子供のためのUVケア製品オンリーのブランド。
子ども(スタッフの子供達)の成長に伴い、赤ちゃんから、スクールウエア、スイムウエアそして、育児する大人までをトータルケアできる製品を企画開発&製造!今年13年目のチャレンジとしてスクールUVアンブレラを作った。

赤ちゃんを守るための紫外線対策商品が
どこにも売っていない現実に愕然…

小川 今や、エポカルさんと言えば子供用紫外線対策商品では業界をリードするトップランナーとして、知る人ぞ知る存在ですが、そもそもどうして子供用の紫外線対策商品に着目したんですか?

松成 自分の子供用に探したのですが、どうしてもなかったから作ろうと思ったんです。本当に欲しくて!うちの子は肌が弱いアトピー体質で皮膚科医師にUV対策が必要といわれたのが探すこととなったきっかけです。でも、子供用の紫外線対策商品なんてどこにも売っていなくて、困惑し、なんだか見放されたような気持ちになったことを覚えています。

当時は、子供はおろか大人用の紫外線対策商品さえ珍しかったんです。スポーツウェアにちょっとある程度で、誰も“本気”で紫外線対策を考えていない時代だったのかもしれませんね。

小川 確かに今でこそ、幼稚園児なんかも首のあたりまで隠す帽子をかぶって外遊びしているけど、昔は紫外線なんか気にも留めていなかったよね。むしろ赤ちゃんには積極的に日なたぼっこさせましょう!みたいな(笑)。現代では日なたぼっこなんかさせないんでしょ?

松成 肌の弱い子が増えているのもあるのでしょうが、ようやく有害紫外線の怖さが理解されてきたのだと思います。2005年には環境省からのマニュアルが出て、続いて気象庁からのUVインデックスによる予報も出るようになり、国によるUV対策が始まったと言える頃でした。今では、たくさんのメーカーが紫外線対策商品の開発に取り組んでいますから、大変な進歩だと思います。

生地屋さんで見付けた、たった1種類のUVカット素材のタグを頼りに、メーカーに直談判。

小川 つまり、今から15年前ぐらいまで日本は紫外線対策後進国だったと?

松成 白人はUVに弱い体質なので、がん患者が増えたオーストラリアでは紫外線対策の先進国として知られています。私たち日本人は、太陽信仰の国であり、肌が比較的強いのもあって、残念ながら後進国です。最初は、UVカット素材のことも知らず、全くの手探り状態。始まりのきっかけは生地屋さんで偶然見つけた「タグ」だったんですから(笑)

小川 え?生地の「タグ」?

松成 UVカット機能を持った素材を偶然見つけたんです。タグに書いてある「UVカット素材」の名前を憶えて、探して、メーカーの子会社、さらにその親会社へと何社も紹介してもらい、ようやくUVカット生地を作っている会社を探し当てたんです。

小川 へー、タグからUVカット生地を作っている会社を探し当てるとは、さすがに母の愛情と行動力はすごいですね。

松成 何とか生地を分けてもらって、ウィンドブレーカーを作ったのが、UVカットウエアの最初の1枚です。WEBページでご紹介したところ大変な反応で、売れるかどうかわからず販売しましたが、あっという間に数十枚がなくなり、さらなるご要望も・・・。ママたちの子供の健康を守りたいと思う気持ちや、必要とされていることに気づき、また驚かされました。

メーカーに一蹴され、子供のものは自分で
作りたい!と会社を設立。

小川 こりゃ、会社を作ったらいい商売ができるぞと?(笑)

松成 いえ、いえ。最初は育児用品のメーカーさんに提案したんです。子供用の紫外線対策商品を作ってくれませんかって。そしたら見事に門前払い!断られましてね(笑)。で、「もういい、自分で作ってやる!」って一念発起したわけです。退職金の一部、たった20万円を元手にね。

小川 開業資金は20万円だったんですか?わはは、男性にはちょっと真似のできないある意味、豪快な起業ですね!

松成 だって、普通の主婦だったし、お金を借りるつもりもなく、会社組織でないと、布の仕入れも取引も出来ないと言われて・・。それで一番簡単にできる合資会社を手持ちの20万円で始めました(笑)。
もちろん、その前にも、冬のベビーカーは想像以上に赤ちゃんにとって寒い事に気付いて、ベビーカーに乗るための防寒着を作った事があったんです。自転車用の防寒具なども作りましたよ。どれも数十枚単位で作ったのにあっという間に売れてしまい「母の目で必要と思うものを作れば必ず買ってもらえる」そんな確信のようなものを感じた瞬間でした。

小川 なるほど、作れば必ず売れるから元手が少なくたって心配はない、というわけか。

松成  もともと、男性と違うのかもしれませんが、会社を作ることとか、儲けるということに執着は全くなかったです。それよりも、必要とされているものを友人たちと企画して作っているということに、何にも代えがたい喜びを感じていました。ママたちは、困っているんだ!もっと使う人の気持ちになって製品を作ってほしい!それができるのは、育児中の私たちなんだってちょっとした自信もつきました。


会社にしたのは、生地の取引単位が大きいためで、必要としているUVカット生地そのものが手に入らないというのが理由。

紫外線に悩むお母さんたちから「次はズボンが欲しい」「今度は帽子を作って」「水着はないの?」と次々に要望や注文が入って。その都度驚きながらも、何とかしたいと、あちこち駆けずり回りながら、何とか期待に応えていく作業を12年間繰り返してきたという感じです。結局、自分たちの子供の成長、そしてお客様のご要望に心動かされて、製品を生み出してきた感じです(笑)。

小川 オンリーワンの強みだよね。子供用紫外線対策というニッチな市場に特化して技術を磨いてきたからこそ、この分野ではライバルさえ出現しないというか。

競争するより自分や子供と向き合って画期的な良いモノづくりを追及するスタイル

松成 ブランド名の「エポカル」は、英語で「画期的」という意味です。
「市場にないもの、驚きと感動を創る」という決意を込めて名付けました。
だから、私たちは人の真似はしないし、同じような商品が出てきても、もっともっとより良いものを作ることができる自信があります。

エポカル製品をマネされるのは、開発にすごく時間をかけるので悔しくて胃に穴が開きそうなくらいですが、その代わり、新しくずっといいモノを開発して、あっ!という感動と驚きをお客様に持っていただけるように・・・と他にも自分にも負けない気持ちを常に思っています(笑)。

小川 UVカット率のような「数字」によって売り上げが左右されるという事はないですか?エポカルさんのUVカット率を上回る商品を出されると、お客様がごっそり持っていかれるような。

松成 確かに大手が「UV99%カット」などと大々的に謳っていますが、エポカルはあえてUVカット素材1枚のUVカット率を表示しています。製品で一番低いところのUVカット率です。

帽子のツバのような分厚いところのUVカット率が高いのは当たり前で、問題なのは一番薄いところのUVカット率なんです。ツバが99%カットしても本体があまりUVをカットできなくては意味がありませんよね。だから最大何%カットではなく、一番薄いところで何%カットできるのかを表示するわけです。正直すぎますか?(笑)

小川 なるほど、エポカルさんの表示を見たら、最大性能を誇示するやり方はお客様を誤解させるようで、逆に信頼を失いかねませんね。

お客様は、UVカット率だけではなくデザインを含めたブランドへの信頼で選んでくれている。

松成 それに、生地の性能だけが商品の良し悪しを決めるわけではないと思うのです。お客様は、UVカット率だけで帽子を選ぶでしょうか?違うと思います。 帽子ならツバの長さや角度こそが使い心地や実際の紫外線対策能力を左右するため、私たちは実際に子供たちに被せて、何度も試作を繰り返しながら納得できた商品だけを世に出しています。たとえば、製品化したのに、ロケで子供たちがどうしても脱いでしまうものは、断腸の思いで、その製品はボツにするんですよ。

機能だけではなく、実際に使ってみて効果と使いやすさを実感できる商品なら、必ずお客様は、納得してくださると信じています。実際、お求めになる方は、その事を良くわかっていますので、UVカット率だけでお客様が製品を選ばれるとは思っていません。エポカルのお客様は、本気で製品を選ぶ目をもつ【目利き】の賢いママたちです。

小川 つまり、スペックを超えた性能や使い心地を徹底的に追及しているから、お客様はスペックではなくブランドを選ぶというわけですね。 それは、傘の世界でも同じだな。今の日本なら、何を選んでも傘としての機能は十分ですよ。どれも同じ機能を持っているなら、あとは何で選ぶか。それは値段だったり、デザ

松成 値段だけでモノを選ぶのは、目的にかなえばよいのですが、時には消費者に満足を得られない結果になることもありますね。果てしない安値競争が始まってしまい、気が付けば味もそっけもないモノだけが市場を占拠してしまう…。こうなってからでは、消費者が“多少高くてもいい物を選ぶ”という選択肢さえなくなってしまう・・・そんな恐ろしさがあります。日本人は、そういう民族ではないと思います。

小川 その通り!特に傘は雨や日差しを避ける道具であると同時に、大切なファッションアイテムでもあるはずなんです。洋服以上に目につくものですからね。Tシャツにさえ、あんなに楽しい表現や文化が育っているんだから、傘だってその人のセンスや人となりを表現するという側面を大切にすべきだと思うんです。

松成  それがキャッチフレーズの「しゃべる傘」なのですね!沢山のあふれるような多くのものの中に埋没してしまうような“物言わぬ傘”ではなく、さっと広げるだけで“個性を周りに語る素敵な傘”という意味なのですね。

ピンクのクラウンを見て、ユニセックスの日傘開発に挑戦!?

小川 そうそう。トヨタさんがピンクのクラウンを出したじゃないですか。私、びっくりしましてね。クラウンと言えば成功者の象徴で、中高年の男性が乗る車というイメージが知らず知らずにこびりついていたんですね。そこへピンクのクラウンの横に社長が立って「RE BORN」なんておっしゃってる。生まれ変わるという意味ですね。つまり、ゼロから新しい市場を開拓するぞ、という決意なわけです。長い年月をかけて培ってきたクラウンの市場を自ら捨てて新しい世代に問いかけるという覚悟。素晴らしいじゃないですか。

松成 小川社長も老舗傘メーカーを受け継いだ御身ですから、トヨタの社長の想いに共感されるところがあるのですね。

小川 いやいや、うちなんかほんの零細企業だから、共感できるなんておこがましいですが、世界のトヨタだって時代に合わせて生まれ変わろうとしている事にハッとしましてね。それからですよ、男性にも使えるユニセックスの日傘開発に着手したのは。

松成 素敵な日傘です!真ん中の棒が白で、骨はピンクと緑があるんですね。斬新だし女性的なイメージがないから、男性はもちろん、ファッションに敏感・モード的な女性たちにも受け入れられるデザインだと思います。 現代の人たちって、斬新な、ちょっと今までにないものに感動し共感し、チャレンジしてくれると感じています。できないと思っていたものが本当はできるんじゃない!?という発見とおもしろさ、オリジナル性を支持してくれ、自分のものにしたいのではじゃないでしょうか?

小川 なるほどね。閉塞感のある社会に生きているからこそ、そういう、平凡なものの中のきらめきやカタルシス(解放感)を味わいたいのかもしれないね。そのためには企業が果敢に壁に挑み、ブレイクスルー(突破)することが益々重要になって来るんだろうね。

一生懸命に創りあげた商品には、オーラが宿る。

松成 そう思います。今までにないモノには、背景に物語が必ずあります。まずできなかった理由があって、それを突破するための苦労とひらめき、技術開発、会社や人との出会いなんかがうまくかみ合って、新しいモノが生まれる。そういう物語に価値を見出し、自分のものにしたい・使ってみたい・必要だと感じていただける。たった一つの製品だって力があります。

小川  確かにそうかも知れないよね。苦労に苦労を重ねて世に送り出した商品には、必ず熱烈に応援してくれる人やファンが現れる。特に背景を説明しなくても、お客様の心に訴えるオーラのようなものを、商品自身が発信しているとしか思えないよね。

松成 結局モノづくりって、人と向き合う事だと思うんです。洋服屋さんが洋服ばかりを見ていてはダメで、洋服の向こうにいる「人」としっかりと向き合うことができないと、人の心を動かす洋服は決してできないと思っています。

小川 同感。口の上手い人が、自分の想いを上手に相手に伝えられるとは限らない。たどたどしくても、一生懸命相手を想い、何度も何度も考え、心の奥から沸き上がった言葉なら、きっと相手の心を動かすはず。モノづくりも同じことだよね。

松成 さすが!社長に会うと、なんだかやる気が湧いてくる。私も何かやらなくちゃって楽しくなってきちゃいました。今日は有意義な時間をありがとうございました。

小川 こちらこそ、素敵な時間を過ごさせていただきました。お互い、モノづくりを通じてもっと素敵な未来を創って行きましょう。

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