傘、日傘、レイングッズ応援サイト 好きな人と好きなものを創る 小川恭令(やすのり).com

小川恭令の好きな人と好きなものを創って仕事をする。

私たちが、タンザニアの伝統芸術を日本、いや世界の人たちに伝えたい。

小川 最初に「アフリカンハンズ」はどんな活動をされているのか教えてください。

レーナー八千代さん(以後敬称省略:レーナー) 「アフリカンハンズ」は、アフリカ主にタンザニア、ウガンダを中心とした東アフリカの人々による手作りの商品を日本に紹介・販売しています。それは単に国際貢献やボランティアということではなく、現地の生活習慣や風習そして伝統芸術を学び、現地の方々と同じ目線で、共に成長する事を目指しています。現地の方々との交流を通じて共に学ぶ心を持ってほしいと思い日本の良さも伝えます。例えば時間使い方や礼儀などです。 あっ、私はアメリカ人と結婚したので今はレーナー八千代が本名になります。決して2世ではないので(笑)

刀根泉さん(以後敬称省略:いーちゃん) 東アフリカのタンザニアを中心に活動しているのですが、小川さんは「ティンガティンガアート」というのをご存知ですか?タンザニアを代表する画法で、創始者のエドワード・サイディ・ティンガティンガ(1932-1972)の名前に由来しています。6色のエナメルペイントを使って、動物や風景、精霊などを色彩豊かに描いているのが特徴なんです。

レーナー いかにもアフリカらしい、自由でのびのびした画風は北欧を中心に世界的な人気を集めているんですよ。以前ジミー大西さんがティンガティンガアーティストに弟子入りする番組があったので、日本でもティンガティンガアートをご存知の方はいるのでは?

小川 ジミーちゃんの絵は何度か観たことがありますよ。独特な構図にビビットな色使いでいろんな場面などを彼の心が受けた様子が描かれているという記憶があります。ジミーちゃんはティンガティンガアートに傾倒していたんだ。 知らなかった…

刃根 私もレーナーが持ち帰った作品を初めて手にした時は大変なカルチャーショックを受けたのを覚えています。あのピカソもアフリカンアートの影響を受けたそうですからね。それくらい強烈なインパクトがあったんです。しかも、実際に販売してみると、こんな松阪市の田舎町でも買っていただける方が沢山いらっしゃいました。やはりアフリカンアートには人の心を揺さぶる力があるんだと確信した私たちは、引き寄せられるようにタンザニアに旅立っていたんです。

アフリカの大地と環境から生まれた、
魂の芸術。

小川 ティンガティンガアートの創始者は、既に亡くなっているようですが、技法などはどのように受けの継がれているのですか?

レーナー ティンガティンガは元々、自宅の壁をペインティングしていたのを、ヨーロッパの方が見て広まったと言われています。このため上等な画材ではなく、べニア板のような建築廃材に、6色の原色ペンキを混ぜ合わせて描くという素朴なものです。技法というよりは、アフリカの大地と環境の中から自然発生的に誕生した、魂の芸術なのではないかと私は思っています。

刃根 逆に言えば外国人が真似しようと思っても同じ世界は表現できないんです。このため、ティンガティンガアーティストとして登録されるには、タンザニアに在住し、かつ5年以上描いていることなど、いくつかの厳しい条件が設けられています。実は私もアキリさんというティンガティンガアーティストに1か月ほど弟子入りした事があるんですが、もちろん私が描くものはティンガティンガアートにはほど遠いものでした。もっとも、画法を学ぶというよりは、ティンガティンガを理解するのが目的でしたから、むしろ同じようには決して描けない事でより一層ティンガティンガに魅了されていましたね。

レーナー 私も始めは“タンザニアの人は子供の頃からたくさんの野生動物を見ているから、こんな絵が描けるんだ”と思っていたんです。アフリカにはそこら中に野生動物がいるというイメージがありましたから。ところが実際に現地に行ってみると野生動物なんかどこにもいない。(笑)。現地の言葉=スワヒリ語を習得していくうちに日本の方のタンザニアのツアーコンダクターもすることがあり、むしろ私たちの方が野生の動物を観ることが多いと思います。

刃根 そうそう。師匠のアキリさんが来日した時も、鳥羽水族館でガラス越しに泳ぐ魚やイルカのショーに大興奮でした。日本人よりも動物を珍しがって、目を輝かせているんです。それなのに、あんなに生き生きと動物を描き出せる秘密は、ティンガティンガアーティストだったおじいさんの影響なんだそうです。子供の頃からいろいろ教わったり学んだりしたことで、自然とアイディアが浮かんでくるんだそうです。

小川 へぇ~、自然と絵柄が頭に浮かんでくるという事ですか?

レーナー そうだと思います。何しろアーティストたちはみんな下描きなしのフリーハンド。筆に迷いがなく、すらすら描くんです。これは頭の中に絵が出来上がっていなければできる事ではありません。

刃根 作品は一見ごちゃごちゃしているようですが、良く見ると構図に無駄がなく、バランスも抜群。しかもハッとするようなインパクトがあり、ティンガティンガ独特の色合いも守られているんです。まさに完璧な完成度で、これを下描きなしで一気に描くんですから驚かされます。

レーナー その分、集中力は大変なもので、描き始めたら食事も忘れて没頭してしまうんです(笑)。

小川 なるほど食事を忘れるほどの集中力で描かれているんですか。私たちも新製品の傘を開発するときは、寝食を忘れることは珍しくありませんよ。そうやって作り手が夢中で生み出した製品は、魂がこもるというのか、思いがお客様に伝わるというのか、例外なくヒットするんです。ティンガティンガアートに不思議な力があるのは、アーティストの思いが宿っているからなのかも知れないね。

ティンガティンガアートは私たちの生き方を変えました。そこには言葉を越えたとんでも
ない衝撃があったから。

小川 ところでそもそもお二人はどうして出会ったんですか?また、どのような経緯でティンガティンガアートにたどり着いたのですか?

刃根 私とレーナーは高校の同級生だったんです。レーナーは高校卒業後オーストラリアに留学し、土産話を聞かされているうちに私も海外に興味を持ってしまったんです。それで無謀にもタイへ一人旅を敢行。現地の人々との出会いや異文化にすっかり魅了され、しかも“言葉が通じなくても一人旅ができた”という達成感が忘れられず、気が付けば、海外一人旅にはまってしまっていたんです(笑)。

レーナー その頃私も毎年いろんな国へ行っていて、変わった国を求めて旅しているうち、アフリカにたどり着いていました。開発途上国の方が、いろんな面でカルチャーショックを体験できて刺激になるからです。反面、危険も多いので、アフリカの中で比較的安全な国を検索したらウガンダがヒットしたためウガンダへ。そこで、たまたま宿で一緒だった方からタンザニアも面白い国だよと教えてもらい、タンザニアに行く事になったんです。そして、そこでティンガティンガアートに出合いました。

刃根 そして、実際にレーナーがティンガティンガで手に入れた作品を持ち帰り、それを見た私がすっかり魅了されてしまったのがティンガティンガを販売するきっかけになったんです。

小川 それからお二人でタンザニアへ?

レーナー はい。初めてタンザニアに降りた時、刀根は感動のあまり泣きだしてしまったんですよ(笑)。彼女曰く“この10年で一番の衝撃だった”そうで、それを見た現地の人が「彼女はなぜ泣いているのか?」と不思議そうに見つめていた顔が今でも忘れられません。

刃根 それぐらい感動したんです。あのティンガティンガアートを育んだ大地に、実際に足を踏み入れたんですからね。それからというものスワヒリ語も勉強しましたよ。現地の人たちとちゃんとコミュニケーションを取りたいと思って。でも、スワヒリ語の教室なんかなかなかないため、自分でテキストを買いあさり、朝1時間早起きして必死で勉強したんです。

レーナー 早起きした本当の理由は、夜はお酒を飲みたいからなんですけどね(笑)。

刃根 飲みニケーションも大事だからね~(笑)。テキストで勉強するのと口語とでは異なる事も多いので苦労しましたが、現地の人はみんな教えたがり(笑)なので、率先して教えてくれるんです。みんなフランクで、日本人と比べて喜怒哀楽をストレートに表現します。このあたりが、ティンガティンガアート独特の感性を生んでいるのかも知れませんね。

フェアトレードをしながらゆくゆくはティンガティンガをブランドにしたい!
それが私たちの夢なのです。

小川 アーティストに作品を依頼するのは、通常のビジネスマンを相手にするのと比べて難しい事もあるのではないですか?

レーナー ティンガティンガの絵は背景に黒を混ぜながら塗るので、暗めになりがちなんです。ヨーロッパでは暗い絵が好まれますが、日本では明るい絵が好まれるため、なるべく日本人好みの明るい絵にしてもらうよう指示を出しています。アーティストの感性に踏み込むことになりますが、日本人に好まれなければ、アーティストも豊かにはなれないから、そこは強く要求するんです。

刃根 それでも、こちらの希望を理解してもらうのは難しいですね。きちんと希望通りに出来上がって来るのが50%、想像以上のものが25%、残り25%は全然違うものが上がって来る…(笑)という感じですね。アーティストの感性を尊重しつつも、日本で受け入れられない作品ではやっぱり意味がありません。制作の途中、途中でこまめにチェックし、場合によっては厳しい指示を出すことが私たちの使命だと感じています。

レーナー 日本とアフリカでは時間の感覚や納期に関する概念のズレも大きいので、アーティストたちと喧嘩することも多いですね。これは、アーティストだからというよりは国民性の問題なんですね。だから、ビジネスとしてのルールは厳しく要求しています。納期が守れなければビジネスは成立せず、ひいては女性の社会的自立にもつながらないという事を、気長に言い続けるしかないと思っています。

小川 なるほど。お二人はアフリカの女性たちの手作り作品を継続的に輸入し、自立を支援する、いわゆるフェアトレードを実践されているわけですが、手ごたえは感じていますか?

刃根 ようやく走り出したという感じですかね。築100年の古民家を改装したお店を立ち上げ、時にはフリーマーケットに参加したりして地道に作品を紹介して来ました。ひょんなことから大手百貨店の目に留まり、催事に出展したことでファン拡大に弾みがついてきました。お蔭様で少しずつ収益が出てきたので、その一部で筆やペンキなどの画材をアーティストに配ったり、床を修理するなど絵を描く環境を改善したりと、良い循環が生まれ始めています。

レーナー アーティスト全員からたくさん作品を買って、みんなを豊かにしたいので日本で売れやすい絵の傾向などもアドバイスしています。最近、フェアトレードを謳っている人は多くなっていますが、実際に現地に足を運んでいる方は少ないし、親身になって的確なアドバイスをしている人は、残念ながらそう多くはありませんね。

小川 つまり、今は収益をアーティストに還元して環境整備をしているという段階ですか?

刃根 そうですね。まだまだ始まったばかりで、やるべきことは無限にあります。アフリカンハンズの仕事は「好き」という気持ちだけでやっている段階です。一見華やかに見えるかもしれませんが、現地での買い付けは荷物が30kgほどにもなる重労働ですし。ビジネスとしてもまだまだだと認識しています。

レーナー それでも、ティンガティンガの絵を買った方はリピーターになってくれる方がとても多いんです。みなさん「見ていて微笑ましい」「楽しい気持ちになれる」と言ってくれますし、お店には県外からのお客様も増えて来ています。このまま、地道にファン層を拡大しながら、ゆくゆくは一目でティンガティンガだと分かってもらえるようなブランド力を育てて行きたいですね。

刃根 同時にアフリカという国をもっと身近に感じてもらい、イメージもアップしていけたら素敵だと思います。

小川 よっしゃ!私がティンガティンガの傘を創りましょう!身近にアフリカンアートを楽しんでもらえたら面白いですね。ぜひ一緒にチャレンジしましょう! 本当にレーナーさん、刀根さんとお知り合いになれたことを感謝します。
ありがとう!

この傘を購入する